コルトM4A1カービン (ファントム隊員の小銃)
M4はM16A2アサルトライフルを切り詰めてショート化したカービン(※1)で、現在米軍の制式小銃となっている。当初はよりコンパクトなアサルトライフルを必要としていた米軍特殊部隊が使用する目的で1994年に採用され、M16の固定ストックの代わりに伸縮式ストックを装備し、バレルも短くしてコンパクト化している。M16A2と同じ強力な5.56×45mmSS109(M855)弾薬(※2)を使用でき、M203グレネードランチャーを装着可能にした肉厚のバレルを採用することで、軽量・コンパクトながらアサルトライフルとして十分な性能を維持している。作動方式は銃器デザイナーとして名高いユージン・ストーナーが設計したAR-15/M16シリーズに共通するガス直接利用式(※3)で、ロッキングシステムにはマイクロロッキングラグを用いたターンボルト方式を採用している。また、スコープやドットサイトの装着に便利なフラットトップレシーバーや、フォアグリップの上下左右4面にピカティニーレール(軍規格の20mmアクセサリー用レール)を装備したSOPMOD(特殊部隊用に開発された改良型)は、レーザーサイトやフラッシュライト、暗視装置などを各種任務に応じてフレキシブルに装着できる拡張性を備えている。そのため米陸軍の前線部隊(※4)では現在ほとんどがこのM4A1を使用しており、市街地での戦闘が多いイラク戦争では大活躍している。現在ではコルト社だけでなく、さまざまなメーカーが製造しており、バリエーションも極めて豊富だ。米軍だけでなくFBIや各警察SWATなども採用しているほか、世界各国の軍、警察で使用されている。

※1:「騎兵銃」の意味で、もともとは馬上でも扱いやすいようにコンパクト化した小銃(ライフル)のこと。拳銃弾を使用するサブマシンガンなどと異なり、小銃に準じた性能を有している。主に歩兵以外の職種(特殊部隊員や戦車隊員、迫撃砲手など)が使用するものを指していたが、現在では歩兵もカービンを使用するようになり、アサルトライフルとの区分はあいまいになっている。

※2:米軍が分隊支援火器として採用したM249(FN ミニミ)の使用弾薬に合わせてM16A2で採用した弾薬。M16A1で使うM193と同寸だが、スチール製コアを持ち貫通力・射程の面でより優れており、銃本体を強化する必要があった。

※3:発射ガスの一部を利用して、ガスチューブで高圧ガスを直接ボルトに導いて作動させる方式。これに対しガス圧利用式は発射ガスの一部を利用して、ガスチューブで高圧ガスをピストンに導き、ピストンを介してボルトを作動させる。どちらにも長所、短所はあるが、アサルトライフルにはガス圧利用式を採用する場合が多い。

※4:海兵隊では用途に応じてM4A1とフルサイズのM16A2/A4(M4に比べ若干有効射程が長い)を使い分けている。


■DATA コルトM4A1カービン
口径:5.56×45mm/全長:757mm(ストック展開時838mm)/重量2,520g/装弾数30発