フラッシュバン
例えば人質を取ったテロリストが建物に立てこもった場合、人質の命を守りつつテロリストを無力化する必要がある。また、人質がいなかったとしても、敵が待ち構えている室内への突入はかなりの危険を伴うものだ。さらに情報を得る目的で拘束したりするために、テロリストを生かしたまま捕らえる必要が出てくる場合などもある。こうした建物制圧任務や人質救出(ホステージレスキュー)任務などで対テロ特殊部隊がよく使用するのが、フラッシュバン(※1)に代表される低致死性武器(ノンリーサルウェポン※2)である。フラッシュバンは瞬間的に発する強力な閃光や大音響によって室内にいる人間の視力や聴力、平衡感覚などを奪って一時的に無力化する武器だ。そのため破片を撒き散らして敵を殺傷する手榴弾(ハンドグレネード)とは異なり、必要以上に被害を与えず、生かしたまま無力化できる。その能力はCTS社製MODEL 7920を例にとってみると、安全ピンを抜き安全レバーを外して信管が作動した後1.5秒で発火、1.5m圏内で175dbの音響、600〜800万カンデラの閃光(※3)を発する。他にはカートリッジ交換で繰り返し使用できるDefense Technology社製No.25ディストラクションデバイスなども有名。

※1:スタングレネードと呼ばれることもある

※2:ノンリーサルウェポンには、フラッシュバンの他にも催涙ガスやゴム弾、電撃を与えるスタンガンやテイザーなどが存在する。しかし、フラッシュバンを使用した場合、心臓疾患などを持つ人間がいた場合ショック死する可能性もあり、殺傷しないとは限らないため「低致死性」という用語が使用される

※3:ちなみにジェット機のエンジンの間近でだいたい120dbと言われる。また1カンデラはローソク1本分の光量を示す

■DATA フラッシュバン(MODEL 7920の場合)
全長:152mm/重量:550g